模範解答一覧
【語源】 第1問〜第4問 【表記力】 第5問〜第10問 【文法】 第11問〜第13問
【敬語】 第14問〜第15問 【漢字力】 第16問〜第17問 【語彙力】 第18問〜第20問

【語源】

第1問 フリーマーケット(古物露天市)の、「フリー」とは?【意味】
 
(1)出展者が自由に品物を持ち寄る意から、自由、すなわちfreeである。
(2)別名「のみの市」ということから、害虫のノミ、すなわち、fleaである。
答え
(2)
 
【解説】
カタカナ語の「フリーマーケット」は英語“flea market”からきた。これはフランス語“marche aux puces(marche は、正しくは、e の上にアクサンテギュがつく)”を直訳したもので、日本語でいうと「のみの市」。「のみ」は害虫のノミだ。なぜ「のみ」なのかについては諸説があるが、一般にはノミがわくような古物を売るからだとされる。
日本語では、lとrの発音の区別がつかないので、“free”だと思い込みがちだ。英語で“free market”というと、「自由市場」という経済用語になるので要注意。
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第2問 次の動物名のうち、純粋な日本語と考えられているものは、どれ?【語源・語種】
 
(1)セイウチ(海象) (2)トナカイ(馴鹿)
(3)カモシカ(氈鹿・羚羊) (4)ラッコ(猟虎)
答え
(3)
 
【解説】
「カモシカ」は「かま(=山の険しいところ)にいる鹿」とも、「氈(かも)(=毛織りの敷物)に織る鹿」の意ともいう。正確な語源はわからないが、日本語語源であることは疑えない。「セイウチ」「ラッコ」はロシア語から、「トナカイ」はアイヌ語またはギリヤーク語から。なお、「カモシカのような脚」という場合の「カモシカ」はニホンカモシカではなく、アフリカの草原などにすむ羚羊(れいよう)、アンテロープのこと。図鑑などで脚の太さを確かめてみよう。
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第3問 次の植物名のうち、純粋な日本語ではないと考えられているものは、どれ?【語源・語種】
 
(1)マツ(松) (2)ウメ(梅)
(3)サクラ(桜) (4)バラ(薔薇)
答え
(2)
 
【解説】
「梅」は中国原産で、「うめ」は呉音「メ」に「う」が添えられてできたもの(外来種の「うま(馬)」が、呉音「マ」に「う」が添えられてできたのと事情は同じである)。「むめ」と呼ばれていた時期もあった。「マツ」「サクラ」の語源は諸説あるが、これが和語であることは疑いようがない。「バラ」とカタカナで書くと、ちょっと外来語のような感じがするが、これは「いばら(茨)」から出たもの。純粋な日本語である。
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第4問 国会休会中は政治家の「外遊」が盛んだが、さて、この「外遊」の「遊」の意味は?【意味】
 
(1)仕事で行っているのだが、謙遜して「遊ぶ」と言っている。
(2)「遊」は「あそぶ」意ではなく、よそに出かけるという意味である。
答え
(2)
 
【解説】
「外遊」の「遊」は、よその土地に出かけるの意。「外遊」全体で、「(留学・研究・視察などのために)外国にでかける」の意味となる。「パリ遊学」「地方遊説(ゆうぜい)」「諸国漫遊」「南米歴遊」などや、島崎藤村の詩にある〈雲白く遊子悲しむ〉などの「遊」も同じ意味。自由に動き回る意の「遊牧民」「遊軍」「遊撃手」などの「遊」もこれに近い。「遊興」「遊戯」や、「遊民」「遊休地」などの「遊」がいわゆる「遊ぶ」の意である。日本語力増強のためにも、熟語の陰に隠れた意味を考える習慣を身につけたい。
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【表記力】

第5問 次の送りがなのうち、正しいのは、どっち?【送りがな】
 
(1)お早う!
(2)お早よう!
答え
(1)
 
【解説】
「早(はよ)う」は、「早(はや)い」が「ございます」に続くときに、「や」が「よ」に変わったもの(現代かなづかいで書いた場合。歴史的かなづかいでは変わらない)。語幹の部分が変わるため、「早う」はやや難読となる。難読を避けたいという気持ちからであろうか、「よ」を添えた「お早よう」の形もしばしばみかけるが、告示「送り仮名の付け方」によると、誤りである。「辛(かろ)うじて」も、「辛ろうじて」となりやすいので、注意したい。
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第6問 「逃す」は、何と読む? 
*「送り仮名の付け方」の趣旨に従って読んでください。【送りがな・読み】
 
(1)「にがす」と読む。
(2)「のがす」と読む。
(3)「にがす」とも「のがす」とも読む。
*「送り仮名の付け方」(告示)とは、一般の社会生活における日本語の送りがなのつけ方のよりどころを示したものです。
答え
(2)
 
【解説】
「にがす」は、「逃げる」に対応させて、活用語尾の1字前から「逃がす」と送る。「のがす」には、「逃がす」における「にげる」のような対応する語がないので、「逃す(のが‐す)」「逃れる(のが‐れる)」ともに、活用語尾から送ることになる。「逃す」は、「にがす」とも読めそうだが、告示「送り仮名の付け方」に従う限り、「のがす」とは読めても「にがす」とは読めない。「のがす」のつもりで「逃がす」と書いても、これまた「にがす」と読まれてしまう。
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第7問 「香り」「薫り」「燻り」などと書く語の、正しい歴史的かなづかいは、どれ?【かなづかい】
 
(1)か
(2)か
(3)か
答え
(2)
 
【解説】
小椋佳の「シクラメンのかほり」や、京都・奈良を情緒豊かに紹介するテレビ番組の「都のかほり」を見ていると、ついつい「かほり」が正しいと思いがちであるが、実は、正しい歴史的かなづかいは「かをり」。昔からしばしば間違えられたかなづかいだと聞く。「かおり」は現代かなづかい。
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第8問 「地面」「地震」「布地」「無地」など、「地」のかなづかいは、「じ」「ぢ」のどちらを使っても正しい。これ、本当?【かなづかい】
 
(1)本当
(2)うそ
答え
(2)
 
【解説】
告示「現代仮名遣い」では、「地面」「地震」「布地」「無地」などの「じ」は、「漢字の読みでもともと濁っているもの」で、「ち」が濁ったものではない。つまり、「ちか(近)」が濁った「まぢか(間近)」などとは異なる。したがって、「じ」と書くことになるのだが、ちょっとわかりにくい。「地」の音として、「チ」と「ジ」があり、「地面」などの「じ」は「チ」ではなく、「ジ」を使って書くと覚えたほうがいいかもしれない。
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第9問 次のうち、外来語の表記としては誤りとされるものは、どれ?【外来語の表記】
 
(1)エンタテナー
(2)エンタテナー
(3)エンタテナー
答え
(1)
 
【解説】
原語のつづりは entertainerで、“tainer”の部分は、英語の発音としては(2)が最も近く、外来語の発音としては(3)、次いで(2)が自然であろう。(1)は、原音から外れるばかりでなく、日本語としての外来語の発音からも外れるもので、誤用というべきだろう。外来語には「ティ」音が多いことから、つい「ティ」としてしまったもの。「ホームスティ」「バースディ」も同様の現象である。
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第10問 韓国風のお好み焼き。外来語の表記として、正しいと考えられるものは、どっち?
*「外来語の表記」(平成3年)によって、考えてください。【外来語の表記】
 
(1)チ
(2)チ
*「外来語の表記」(告示)とは、一般の社会生活における日本語の外来語の書き表し方のよりどころを示したものです。
答え
(2)
 
【解説】
和語の「縮み」ならば、「現代仮名遣い」の〈同音の連呼〉によって、「ちぢみ」となるが、「チジミ」は外来語なので「外来語の表記」によることになる。「外来語の表記」では、「ヂ」「ヅ」は「ジ」「ズ」と書く決まりで、「ヂ」は使えない。したがって、「チジミ」となる。「チジミ」を「チヂミ」と書くのは、「いちじく」「いちじるしい」を「いちぢく」「いちぢるしい」と書くようなものだが、ネットをはじめ、「チヂミ」は「チジミ」を圧倒する勢いを見せている。
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【文法】

第11問 文法的に正しいのは、どっち?【文法】
 
(1)君は人の話を聞かなすぎる
(2)君は人の話を聞かなさすぎる
答え
(1)
 
【解説】
「すぎる」が、動詞未然形+否定の助動詞「ない」の形に続くとき、「〜なすぎる」と「〜なさすぎる」の形をみかける。上の例だけでなく、「読まな(さ)すぎる」「働かな(さ)すぎる」「食べな(さ)すぎる」「打てな(さ)すぎる」などもそうだ。「さ」が入るのは、否定の助動詞「ない」と形容詞の「無い」とを混同したもので、伝統的には「〜なすぎる」が正しいのだが、近年、「さ入れ」が勢いを増してきている。
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第12問 次のうち、文法的に正しいのは、どれ?【文法】
 
(1)彼は、なんだか、つまらなそうにしている。
(2)彼は、なんだか、つまらなさそうにしている。
(3)彼は、なんだか、つまらなさげにしている。
(4)彼は、なんだか、つまらなげにしている。
答え
(1)
 
【解説】
「つまらない」は、動詞「詰まる」+助動詞「ない」からできたもの。一般には形容詞からは除外され、(連語)として扱われるが、形容詞に近い性質をもっているために、しばしば同一視され、上のような種々の表現を生んだ。伝統的には(1)が正しく、使用頻度も高いが、近年、さ入れの(2)が勢いを増している。(3)(4)は、標準からはずれ、誤用と考える人も多い。まだ少数派だ。
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第13問 次のうち、「ら抜き」と言われるものは、どれ?【文法】
 
(1)飛べる
(2)書ける
(3)見れる
(4)しゃべれる
答え
(3)
 
【解説】
「飛ぶ」「書く」「しゃべる」など、五段活用の動詞が下一段化し、「(空が)飛べる」「(漢字が)書ける」「(英語が)しゃべれる」のように可能の意味を表すようになったものを「可能動詞」という。従来、五段動詞からしか派生しなかったが、近年「見る→見れる」「来る→来れる」「食べる→食べれる」のように、五段以外の動詞からも派生するようになった。避けようもなく広がっているが、正式の表現としては避けられる傾向にある。
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【敬語】

第14問 次の表現のうち、正しい敬語は、どれ?【敬語・尊敬語】
 
(1)部長が申される御意見に心から賛同いたします。
(2)部長がおっしゃる御意見に心から賛同いたします。
(3)部長がおっしゃられる御意見に心から賛同いたします。
答え
(2)
 
【解説】
(1)の「申される」は、「言う」の謙譲語「申す」に尊敬の助動詞「れる」がついたもの。謙譲語を尊敬語として使ったもので、誤用とされる。「おっしゃる」は「言う」の尊敬語で、それに尊敬の助動詞「れる」をつけた(3)は二重敬語となり、誤用とされる。「おっしゃる」は、それだけで尊敬の意を表す。上では(2)が唯一正しい敬語である。
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第15問 次の表現のうち、適切な尊敬表現は、どれ?【敬語・尊敬語】
 
(1)先生、どうか父にお会いしてください。
(2)先生、どうか父にお会いください。
(3)先生、どうか父にお目にかかってください。
答え
(2)
 
【解説】
(1)の「お会いする」は謙譲語で、尊敬表現にはならない。(3)の「お目にかかる」は、「お会いする」と同じく謙譲の意を表す慣用句。尊敬表現としては(2)が正しい。もっと敬度の高い表現として、「先生、どうか父にお会い(になって)ください(ませんか)」「先生、どうか父にお会い(になって)いただけませんか」などがある。前者には依頼の、後者には恩恵の気持ちがこもる。
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【漢字力】

第16問 「夥しい」の、正しい読みは、どれ?【読み】
 
(1)あわただしい
(2)おびただしい
(3)はなはだしい
(4)くだくだしい
(5)くどくどしい
答え
(2)
 
【解説】
数量がはなはだしく多い、程度がはなはだしいの意で、「競技場には夥しい数の観客が押し寄せた」「愚かなること夥しい」などと使う。ちなみに、「あわただしい」は「慌ただしい」、「はなはだしい」は「甚だしい」と書き、「くだくだしい」「くどくどしい」はかな書きが多い。
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第17問 「覆る」の、正しい読みは、どれ?【読み】
 
(1)むせかえる
(2)よみがえる
(3)くつがえる
(4)ひるがえる
答え
(3)
 
【解説】
ちょっと難しいが、常用漢字表の音訓に従って読める。対応する語に「くつがえす」があり、これも「覆す」と書き、ともに活用語尾だけを送る。「よみがえる」は、一般には、活用語尾だけを送って「甦る・蘇る」と書くが、これも相当に難読。「甦える・蘇える」と書く人もいる。「ひるがえる」は「翻る」。「むせかえる」は「噎せ返る」。
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【語彙力】

第18問 「フライパンに油を{引く・敷く}」、正しいのは、どっち?【ことばの使い分け】
 
(1)引く
(2)敷く
答え
(1)
 
【解説】
「引く」には、引き延ばすようにして表面に広く塗る意があり、この場合は「引く」と書くのが正解。ちなみに、「鉄道を{引く・敷く}」「布団を{引く・敷く}」は、ともに「敷く」だが、前者は「鉄道を敷設する」の「敷」と、後者は「敷き布団」の「敷き」と関連づけて覚えておくのも一法。「引き写し・敷き写し」のように、ともに正しいものもあるので注意が必要だ。
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第19問 慣用句「身を粉にする」の、正しい読み方は、どれ?【慣用表現・読み】
 
(1)みをこなにする。
(2)みをにする。
答え
(2)
 
【解説】
労苦をいとわず一心に努めるの意。「身を粉にして働く」などと使う。「身を粉に砕く」「身を粉にはたく」、また単に「身を砕く」ともいう。今では「身を粉にして」というよりは「身を砕いて」といったほうがわかりやすいかもしれない。四字熟語で言えば、「粉骨砕身(ふんこつさいしん)」である。「粉」を「こな」と読むと、やはり誤りだろう。そこが慣用句の慣用句たるゆえんである。
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第20問 慣用的な言い方として、正しいのは、どっち?【慣用句・句形】
 
(1)不測の事態に備える
(2)不足の事態に備える
答え
(1)
 
【解説】
「不足」は、足りないの意で、「材料が不足する」「不足を補う」「認識不足」などと使う。「不測」は、予測できないの意で、「不測の事故」「不測の出費」などと使うが、「不測の事態」の形で、「不測の事態に備える」「不測の事態が起こる」などと使うことも多い。(2)は「不測」を「不足」と思いこんだことによる誤りで、「請求[外貨・電力・医師]不足の事態」などの言い方が見られ、近年は、役所の「○○白書」の類にまで現れている。
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