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「シゴタノ!」の大橋悦夫さんが考える! ATOK 2011の5つの進化と人がすべき仕事の変化

大橋 悦夫

大橋 悦夫
(おおはし えつお)

1974年、東京生まれ。月間25万PVのブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。

上智大学外国語学部英語学科を卒業後、SE、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、有限会社サイバーローグ研究所を設立。
仕事を楽しくするためのスピードアップ・効率アップをテーマとしたブログ記事の執筆を中心に、ビジネスパーソン向けのセミナーや書籍の執筆を行う。

ATOKは1995年からバージョンを替えながら15年間使い続けているヘビーユーザーである。

著書は『スピードハックス』、『ライブハックス!』、『成功ハックス』など多数。

パソコンを使って仕事をしている人で日本語入力システム(漢字変換ソフト)のお世話になっていない人はいないでしょう。

データベースソフトは毎日起動しないという人でも、メールソフトは毎日欠かさず起動し、メールの読み書きをするはずです。文書作成や企画書作成などでも大量の文章を入力するでしょう。そうなると、パソコンで最も使用頻度が高いソフトは日本語入力システムということになります。

従って、仕事の効率を上げたければ、日本語入力システムを改善することは最も手っ取り早く確実な対策になるでしょう。

ATOKは、そんなニーズに応えてくれる日本語入力システムです。アップデートを重ねるごとに最新の用語や地名・人名などを充実させており、望み通りの変換がスムーズにできます。また、一度変換を確定した言葉は、次回以降は最初の一部を入力するだけで候補として提示してくれるなど、使えば使うほど文章の入力効率がアップしていきます。

僕自身、ATOKシリーズをかれこれ15年ほど使い続けていますが、最新バージョンである ATOK 2011 はさらに便利な機能が盛り込まれています。

ATOK 2011 を2週間ほど使ってみてわかったことは、これまでの15年間、いかに自分がコンピュータにラクをさせていたか、という事実です。コンピュータをコキ使って自分はラクをしているつもりだったのが、現実は逆だったのです。

ATOK 2011 になって、初めて本当の意味でコンピュータがコンピュータらしい仕事をしてくれるようになった、と言えるのではないかと思っています。

そう言える理由は次の5つです。

それぞれ見ていきます。

ユーザーの“クセ”を覚えるようになった

本当の意味でのクセを覚えるわけではありません。ユーザーによるキーボードからの入力がその手がかりになるのです。
クセを覚えると(ユーザーからしたら覚えられると)どうなるか。

それは、ATOK 2011 がユーザーの繰り出す特徴的なタイプミスを覚えておき、本来の正しいタイピングと比較して「これは、あの言葉ではないか?」という仮説を立てます。この仮説に基づいて、変換候補を提示してきます。

人間同士であれば、多少間違っていても前後関係やニュアンスから意味を推測してコミュニケーションを続けることができますが、対コンピュータとなると1文字でも間違っていれば受け付けてもらえない、というのがこれまででした。

繰り返し同じ間違え方をする必要がありますが(だからこそクセなのですが)、間違えても指摘してもらえるようになった、という点は大きな進歩でしょう。

実は僕自身、かつてテープ起こしの仕事をしていたことがあったのですが、その際に「私(watasi)」を「わつぃ」(watuxi)とミスタイプしてしまうことが多々ありました。1998年と12年前の話で、自分でもどうしてこのようなミスタイプをしていたのか理解に苦しむのですが、この対策として「私」を「わつぃ」の読みで単語登録をしてしのいでいました。
こうすることで、「わつぃ」と"正しく"ミスタイプすることで、目的とする「私」という変換結果が得られるようになります。

これは、コンピュータが杓子定規であることを逆手に取った対応といえます。

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ユーザーの“誤り”を正すようになった

特に敬語の誤りを正してくれます。たとえば、以下は実際に僕自身が指摘されたもの。
間違っているとはつゆ知らず──過去にきちんと習ったのに忘れていたのかもしれませんが──入力して、見事に指摘されました。


Endキーを押せば解説が表示されます。

もちろん、言葉は生き物なので時代とともにニュアンスや使われ方も変わっていくでしょう。
でも、少なくとも現時点では、現時点で正しいとされる文法に沿った書き方を完璧に身につけていなくても、コンピュータの"手"によって正してもらえるチャンスはある、ということです。

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ユーザーの“所属業界”を研究するようになった

専門知識が高度化し、分野が細分化されるにしたがって、各分野で使われる語彙の偏りが増えてきました。
ある専門職のユーザーにとって、よく使う技術用語がすぐに変換できることは望ましいはずです。でも、そういった用語は無数にありますから、一つひとつを単語登録するのは現実的ではありませんし、用語は日夜増え続けていきます。

そこで、ATOK 2011 では「おまかせキーワードチャージャー」という文書学習ツールが搭載されました。
このツールは、文字通り ATOK 2011 が学習するためのもので、題材としてPC内にあるファイルやブラウザで開いたページ、あるいはRSSを与えると、これを読み込んでそれぞれで使われている専門用語を収集します。

たとえば、僕の場合であれば、過去に出した書籍の原稿(テキストファイルやWordファイル)やブログ記事(RSS)を読み込ませることで、僕がよく使う単語やフレーズを覚えてくれるようになるのはもちろん、推測変換で現れる候補も「僕仕様」になるのです。

ToodledoやNozbe、flickrといったWebアプリの名称、WordPressやHootSuiteのように途中で大文字になる商標など、一般には正しく変換されない単語群をまとめて覚え直してくれるため、スペルミスをして恥をかかずに済みます。

これまで、PCを買い換えるたびにATOKのデータも移行してきましたが、登録単語の移行のみでした。これは、以前使っていたPCと同じ程度になじむまで、すなわち変換が「僕仕様」に変わるまでにはある程度の時間がかかることを意味します。

「おまかせキーワードチャージャー」を使って、これまでに書いた文章をまとめて学習させることで、ATOK 2011を一気に「僕仕様」に生まれ変わらせることができます。単語やフレーズを個別に教える手間が省けるわけです。

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Update:2011.02.10