課長 |
「昨日は狩野本部長に連れて行かれたらしいね」 |
ねね |
「そうです。おごってくれなくていいから早く帰らせてくれって感じです。とウスイセンパイが言ってました」 |
課長 |
「…話が長かったんだね?」 |
ねね |
「ハイとっても。議題は『きもい』と『きしょい』のちがいについてでした」 |
課長 |
「『きもい』は『気持ち悪い』、『きしょい』は『気色悪い』のことだな?」 |
ねね |
「そうです。それがフシギなことに単に『気持ち悪い』を短くしたのが『きもい』ってゆーわけでもなくて、ビミョーに意味が違うんです。たとえば『きもい』は吐き気がするようなときには使わないんですよ」 |
課長 |
「ほ〜そう言われれば。なんかこう、『きもい』は見た目が変わってる感じだな。『きしょい』はもっと気持ち悪い感じかな?」 |
ねね |
「そう『きしょい』は、もうサイアクに気持ち悪い感じですね。でもこれが、けなすだけでもないんです。たとえば宇宙人の形をした携帯ストラップなんかを『きしょい〜かわい〜』って言ったりしますし」 |
課長 |
「そうか、『きしょい』は元の『気色悪い』の雰囲気が残っていて、グロテスクなニュアンスがあるんだな」 |
ねね |
「ところで課長、『気色』ってどーゆー意味デスか?」 |
課長 |
「うーん、心の中で思っていることがそのまま出ている顔つきとか、気分とか、そういう意味だな。でもそんなことは昨日、狩野本部長がさんざん言っていただろう?」 |
ねね |
「あーー、そーかもしれませんネ。ねねは、ほとんど聞いていなかったんで、よく覚えてマセン。唯一、ベンキョーになったのが、ニホンの三大珍味が何かってことデス。ねねはダンゼン、ウニですよ。越後のウニって食べてみたいデスね〜。このわたは、サイアクに気持ち悪いデス!」 |
課長 |
「そうか。でも見かけが悪いものでも、美味いものはあるぞ。白子とかホヤとかナマコとか」 |
ねね |
「えーー課長はゲテモノ好きなんですね〜きしょい〜」 |
課長 |
「褒め言葉と受け取っておこう」 |